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2024/11/24 (Sun.)

2012
01
07

【自作小説】プロローグ②【魔法提督少女】

短いけど続きが書けたのでアップします。
本当は木曜に上げるつもりだったんですが、ブログ日記書こうとすると、延々と読み込み中になるという不具合が出てました
(´・ω・`)ニンジャブログさん・・・何の嫌がらせだろうかと思いましたヨ。

―セラフ空域南西部―

 雲間を抜ける大きな帝国旗の描かれた戦艦に、いくつもの大小様々な艦が規則正しく隊形をとって付随する。
現在、アーチェル率いる新設された第十七艦隊は、帝国から南西に遠く離れた空域で、空賊等から航路を守る為の哨戒任務に就いている最中であった。

―戦艦「シャムロック」艦橋―

 何事もなく進む船旅に、アーチェルは退屈感を募らせていた。やる事と言えば、提督席と呼ばれる豪華な造りの椅子で、黙って座って各艦を眺める事だけか、定期連絡の報告を受けるだけであったからだ。
そして、今やっている事は立体型エーテルモニターに魔法端末から艦隊陣形を映し、それを眺めて各艦の具合を見ていることであった。
『あぁ……退屈だ』
 アーチェルは、手で顔を隠しながら小さく欠伸をした。
「提督、兵が見ています……ご自重を」
 小声でアインスが耳打ちをすると、アーチェルは『わかっている』と手で制した。
「提督、退屈そうですなぁ。どうですか、ここはひとつ白兵戦訓練を皆でするなんてのは?」
 そういって話しかけて来たのは、現在搭乗している戦艦シャムロックの艦長、丸坊主と口周りに生やした黒髭が印象的なカツラ大佐だった。本来ならば、鉄拳制裁が飛ぶような上官に対しての口の聞き方だが、帝国軍では戦艦に乗っている限りは艦長が一番敬われるという風習があり、この様な口ぶりでも特に咎められる事は無かった。
『艦長、それは昨日やったばかりだと思うので却下します』
「つれませんな、提督。昨日はそこの副官殿に一人で全部引っ繰り返されたんで煮えきらんのですよ」
 とても残念といった表情と口ぶりでカツラは訴えた。昨日も同様に暇であったので、艦内で紅白戦をした所、当初有利に進めていた艦長軍が、提督軍のアインス隊を止めきれず、各所でアインス隊の血祭りにあげられて敗北していた。それが理由で、「もう一度」という心境なのであろう。
「あれは、艦長殿がアインス殿に吹っかけるからマジになってしまったじゃないんですかネ?」
 軽い口ぶりで横からひょいと出てきたのは、第十七艦隊参謀長に就任したミカガミ大佐だった。
「だって艦長、勝ったら魔女様にキスしてもらうなんて言ってましたからね。アインスお父さんはそりゃあ怒るでしょうよ」
 綺麗な顔立ちに似合わない軽い口調でミカガミ大佐が会話に入ってくると、カツラは仏頂面をして明後日の方向に顔を向けてしまった。アーチェルは、『本当か?』といった表情でアインスを見ると、ただ笑顔を返されるだけだった。
ミカガミは、黙り込んだカツラをニヤつきながら見ていると、アーチェルに退屈しのぎになるある提案をしはじめた。
「……んで、提案なんですが、提督。航路の安全確保は既に保たれているので、今後の為にもここら辺一帯の調査をすることを提案します」
『それは構わないが、ミカガミ大佐。それは既に行っていることでは?』
 アーチェルはミカガミの提案に少し理解しかねるといった表情で訊ねた。既に、周辺空域の風向きや、気候変動の類は調査済みであったからだ。
「あぁ、勿論データの類ではありませんよ。ここら辺一帯の集落とか町の調査です。その為に、旅行客に偽装して何人か出そうかと思っているのですが、いかがでしょうか?」
『なるほど……』 
 アーチェルは、顎に手を当てて相槌を打つと少しの間考え込んだ。セラフ空域では、辺境の空賊にしては武装が整い過ぎていると報告があり、どこかの国から援助を受けているとも噂されていた。例えどんな国であれ、世界国家交流会議の憲章で定められた対空賊法により、如何なる援助も出来ないと約束されているはずだった。
『確かにそれはいいかもしれないが、見つけるのにも一苦労だし、少し危険ではないかな?』
 そう言って、アーチェルは指を弾くような仕草を見せる。
「確かに危険ではありますが、ここら辺を根城にしている空賊について何か手がかりが掴めるかもしれません。それに、副産物だってあるかもしれませんよ?」
 ニヤリと笑ってミカガミは肩をすくめた。要するに、背後にいる武器を供給しているどこぞの国が割り出せるかもしれないということだろう。
 暇を潰すにしても大仕事なので、どうしたものかとアーチェルが再び考え込んでいると、横からアインスがアーチェルに耳打ちをしてきた。
「それでしたら私が調査に赴きましょう。私がここを離れても問題は無いと思いますので」
 それを聞いたアーチェルは、
「確かに問題は無いが……」
 と言い、目を瞑って考え出した。

暫くして、アーチェルがアインスの提案の許可を出すと、ミカガミとカツラは互いに顔を覗いた後、アーチェルとアインスの顔を同時に見た。
「副官殿が行ってくれるならこの任務に問題は無くなるのですが……いいのですか?」
 ミカガミは、アインスに問い返しながら、その目をアーチェルに向けた。ミカガミには、アーチェルの懐刀を自分が使用してしまうような感覚で気が引けたのだろう。
『いいのではないかな。ただ、条件がいくつか有るかな』
 そう言って、アーチェルはミカガミに目を向けた。
「条件……ですか?」
『アマミヤ少佐は調査系の仕事は得意分野だったので、彼女を同行させて欲しい。他にも、こちらで同行者を選抜しておきます。嫌だとは言わないでくださいね?』
「あぁ、他にも同行者を選んで頂けるのなら、それに越したことはありません」
 そんな事かとミカガミが笑いながら答えると、
「では、次に南セラフの駐屯地に寄った時に選抜隊を組織しましょう。私はこれからクリューヴェル大佐にもこの事を直接知らせに行きます」
 ミカガミは笑顔で答えると、敬礼して意気揚々と格納庫に歩いていった。
 後にではあるが、この場にいたアーチェル以外の人間は、この条件を拒否しなかった事を大きく後悔する事になる。

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2012/01/07 (Sat.) Trackback() Comment(0) 自作小説

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