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2024/05/20 (Mon.)

2012
01
15

『魔法提督少女』[プロローグ③]

ハイ、週刊ペースのプロローグアップロードです。
アクセスカウンター回り続ける限り、誰かが見てくれていると信じてアップロードしますですよ(´ω`)
ほら、アレです。どっかしらで聞いた言葉ですけど、
アナタが投げ出そうとしている創作物は、
誰かが見たかった創作物なんだよ。

ってすっごいイイ言葉がありましたよね。
・・・ということで、下部にプロローグ3がありますので、暇つぶしに読んでみてください。
今日は、コタツの魔力であやうく寝落ちしかけてましたよ・・・・・・(´ω`)

―交易都市「イズモ」―

 交易都市として有名な「イズモ」は、交通の要衝として栄えている。帝国首都より遥か南のセラフ空域中央に位置し、幾つもの小国から成る「セラフ自由都市連邦」、非常に長い歴史を持つ「支月皇国」、商業国として有名な「アルトリア王国」といった国々と帝国との玄関口として栄えている歴史のある都市である。近年は、比較的近隣に植民地を持つ「ルーラント王国」、南方特産品を買い付ける為に現地に国営企業の支社を建てた「サヴァート連邦」等の人々もこの地に来る為、より一層賑わっている都市である。
 そんなイズモの一角にある飲食街では、正午が近づいた為か、そこかしこで売り子の呼び込み声や、食欲を誘う良い匂いや煙が立ち上り、多くの労働者や旅行客で賑わっていた。
そして、飲食外の一角にある「八尋殿」と書かれた伝統的な帝国式建築物の料理屋の前にアインスは立っていた。
「さて、ここか……」
 アインス看板を見ながら呟くと、料理屋の中に入っていった。

―家庭料理店「八尋殿」―

 店に入ると、アインスはキョロキョロと店内を見渡し始めた。現在、アインスはこの料理店で旅行客に扮して一緒に空賊の調査にあたるアマミヤ少佐と待ち合わせる事になっていた。
 しかし、いくら店内を見渡してみてもアマミヤ少佐は居らず、如何にも職人といった風体の男や、柄の悪そうな十代の少年、旅行者と見える老夫婦が昼食を楽しんでいるといった光景しか見当たらなかった。アインスは、
「少し早く到着してしまったか」
と内心思ったが、店内に入ってしまった以上、店を出て行くという訳にもいかず、ひとまず店の隅にあるテーブルに着いてメニューをゆっくり眺めだした。
 暫くメニューを眺めた後でアインスは料理を決め、給仕さんに豆腐定食の注文をすると、店内の水晶窓から見える飲食街の景色を楽しんでいた。首都とは雰囲気は違うが、活気があり、何より色々な国の人間が入り乱れて歩いている光景はアインスには珍しく映っていた。
料理が出てくる迄この風景を見ながらゆっくりしていようとしていると、ふと、窓の外に大きなバッグを持った、見覚えのある長い黒髪の女性がそこにいた。
 アインスが手を振ってその女性に合図を送ると、それに気づいた女性がアインスの方に向かって来た。
「遅れました。アインス大……くん」
 女性は「大佐」と言いそうになったのをなんとか堪え、アインスに挨拶をした。
「お久しぶりです。アマミヤさん」
 アインスが笑いながら受け答えると、その女性、アマミヤ少佐は頭を手で掻きながら照れ隠しのような笑いをしていた。
「あはは……アインスちゃん。遅れたのは理由があるのよ、仕方なかったの」
 アマミヤは明るい声でアインスの事を「ちゃん付け」で呼び、ゆっくりとアインスの前の席に座った。
アマミヤとアインスは、士官学校時代の同期生で、互いにいつも成績の一、二を争っていたせいか、仲の良い友人といった間柄であった。他に、飛び級で士官学校入りをしたアーチェルの護衛や、様々なサポートを行う役割を一緒にしていた事もあった。
「実は、今回同行する人が、追加でもう一人来る事になったのよ」
 何でも、来る途中でアーチェルの名前で連絡が入り、特徴と名前だけ告げられたという。その情報だと、「腰まである長い銀髪の小柄な女性」で、名前は「ユゲ」という人物だという。服装は「麦藁帽子に白い旅行服で、大きな黒の鞄を持っている」との事だった。
 アインスは、
「そういえば、他にも同行者を選抜するとは言っていたな……」
 と、アーチェルの言葉を思い出しながら内心呟いた。
「それで会う場所だけど、一五○○時のルーラント行きの巡航船内の室内レストランで会う予定になっているのよ」
 アマミヤはアインスに説明しながら、店のメニューを一生懸命覗き込んでいた。
「だから、時間はまだ余裕はあるわね……あ、給仕さん!野菜炒め定食ね」
 アマミヤが元気良く注文をすると、給仕さんはくすくすと笑いながら「はーい」と受け答えた。

―イズモ空港 第二ゲート―

 昼食を終えたアインス達は、空港にある手荷物検査を終え、巡航船に乗ろうとしているところだった。
「いやーさっきのお店おいしかったねぇ。もうちょっと居たかったな。あ、でも次は船内のレストランがあるか」
 食事を先ほど終えたばかりのアマミヤは、もう次の料理の事を考えている様で、アインスは仕方ないといった表情で笑っていた。
「ゲートにはそれらしい人は見当たりませんね。既に船の中でしょうか」
「そうじゃない?何にしても、まずは船内レストランに行く事かしらね」
 アマミヤは唇を舌で舐める動作をしながら受け答えた。
 アマミヤの素振りを見たアインスは、レストランに行く目的が、違う意味に摩り替わっているんじゃないかと心配したが、「兎に角まずは船に乗るのが先決」と思い直して、船の方向へ進んで行った。

―巡航船「ノースポール」―

アインスは、しばらく過ごす船室を一通り点検し終えた後、アマミヤと一緒に船内レストランに行く為に通路で待機していた。アインスは私服に着替え、奇抜な柄の半袖のシャツを着ていた。
しばらくして、こちらもまた私服の薄着で登場したアマミヤが通路に顔を出した。
「お待たせ。では、噂の娘と御対面に行きましょうか」
そう笑いながら非常に軽い口調で言うと、アインスの返答を待たずに通路をすたすたと歩きだしていた。

 アインス達がレストランに着くと、二人はレストラン内を歩きながら見渡し始めた。一通り店内を見渡すと、アマミヤが探している女性を見つけたのか、アインスの肩を叩いた。
「あ、多分あの若い娘がユゲさんじゃないかな?」
 アマミヤが指差すと、そこには麦藁帽子を被った腰まである長い銀髪の眼鏡の少女が座っていた。遠くからだったので良く見えないが、探している少女は、本を読みながら茶を飲んでいる様に見えた。
銀髪の少女は読書に集中している様で、周りをまったく見ていないといった風だった。
 そんな少女を見て、アインスは自分の良く知る少女を思い出しながら、「アーチェル提督にそっくりな方だ」と、内心思った。
 アインスは、少女と合流する為近づいていくと、その容姿が、銀髪という以外は先程思い出していた、「よく知る少女」とそっくりだという事に気づいた。
 そして、一歩一歩と近づくたびに、その嫌な予感がアインス支配していき、少女の手前まで来た時、アインスの中でその予感が確信に変わっていた。
 そして、アマミヤもまた、間近で銀髪の少女を見ると、どうしてこの人物がこんな場所にいるか分からないといった顔で口を開けて驚いていた。
「あー……アレ?……アーチェルさん?」
 アマミヤがかなり困惑しながら銀髪の少女に名前を訊くと、
『うーん。やっぱり、二人にはすぐバレたか』
 と、銀髪の少女は本をパタン閉じて、非常に残念といった笑いをして答えた。
「提督……ご説明願えますね?」
アインスは、完全に諦めたといった表情で、目の前の銀髪の少女に現状の説明を求める事にした。

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2012/01/15 (Sun.) Trackback() Comment(0) 自作小説

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